皆さんこんにちは!
今回はジャガイモ(馬鈴薯 ばれいしょ)の栽培方法を解説していきます。
品薄なら家で作ればいいじゃない!
そんな発想で作ってもらえたらと思います。
1個の種芋から数倍の芋ができます🎵
関東の平地では3月中旬から4月に植えて6月〜7月に収穫します。
目次
ジャガイモ栽培の流れ
- 種芋を準備する
- 畑を準備する
- 切る(必要に応じて)
- 芽出し(必要に応じて)
- 植える
- 芽かき
- 土寄せ
- 収穫
- 貯蔵
さあ!育てよう!
種芋を準備する
芋を買ってくる
まずは種芋がなければ始まりません。
種芋と言ってもスーパーで売っている食べる用の芋を植えてはいけません❌
「きちんと検査された種芋用の芋」をを植えるようにします🥔
「きちんと検査された種芋用の芋」とは?
「食べる用の芋」と「植え付ける用の芋」は異なります。
「食べる用の芋」は荒い言い方をしてしまえば芋が収穫できればOKです。
生育途中に虫がついても、病気になっても、最終的に芋が獲れればOKなのです😊
「植え付ける用の芋」は病気や虫を持っていない芋でなければなりません。
線虫やウイルス病など国に指定された病害虫を芋が持っていないことが検査されています。(詳しくは植物防疫所のページへ)
現在、指定種苗には馬鈴しょ(ジャガイモ)が指定されています。馬鈴しょの検査は、北海道、青森県、岩手県、福島県、群馬県、山梨県、長野県、岡山県、広島県、長崎県及び熊本県において、ジャガイモガ、ジャガイモシストセンチュウ及びジャガイモシロシストセンチュウの3種類の害虫と馬鈴しょウイルス、輪腐病菌、青枯病菌、そうか病菌、粉状そうか病菌、黒あざ病菌及び疫病菌の7種類の病気を対象にして行っています。
以上、植物防疫所HPからの引用です。
検査する時期は、植付け前のほ場及び馬鈴しょの種いも、栽培期間中及び収穫後の生産された馬鈴しょと3段階の検査を実施しています。これらの検査すべてに合格した馬鈴しょの種いもに種馬鈴しょ合格証票が発給されます。
親個体に感染したウイルスは子芋(種芋となる芋)に感染します🦠
感染した子芋を種芋として使うとはじめからウイルスに罹った状態で生育するため著しく生育が劣ってしまいます😱
また、その個体が感染源となって汁を吸うアブラムシによって他の健全な個体にウイルスが感染していってしまいます。(人で言う蚊を媒介したマラリア🦟のような状態になります)
健全な生育をしてもらい、たくさんのじゃがいもを収穫するためには健康な種芋を植える必要があります☺️
植物防疫所の検査を通過したものには証票が添付されます。
これが箱や袋に添付されている物を購入しましょう😊
去年自分の家で栽培した芋は種芋として使っていいの?
だめではないですが、おすすめしません。
千葉県の農業試験場で上記の自分のところで獲れた芋を植えた場合の収量の増減データがあります。
検査された種芋から獲れた子芋を植えたときはまだ収量の落ち込みは激しくないですが、2年、3年と繰り返していくうちにどんどん収量が低下していきます。
これはなぜか?
線虫や病気が種芋に残って次世代がハンデを背負ったまま生育が始まるからです。
また千葉県農業試験場データを引用しますが
繰り返し栽培することでどんどんウイルスに罹った個体が増えています🦠
この原因もウイルスに感染した個体が感染源となり、汁を吸うアブラムシによって他の健全な個体にウイルスが感染していくことによります。(人で言う蚊を媒介したマラリアのような状態になります)大事なことなので2回目です😨
これらの理由により種芋はきちんとした検査証票の添付された種芋を購入することをおすすめします。
種芋の表面にカビが生えている!
種芋の表面に白カビや黒カビが付着していることがあります。
キタアカリなどの表面がザラザラしていて土が付きやすく、その土にカビが生えているのです。
拭けば取れます🧽
しかし、芋自体が柔らかくなっていたり汁が出てきていたりするとちょいとマズイです。
このカビはダンボールや紙袋など通気性の悪い容器で保存しているために発生したもので、コンテナなどの通気性の良い容器に移したり、太陽の光に当てたりするとカビが消えます🌞
畑を準備する
水はけの良い畑
水はけの良い(水が溜まらないように)土作りをします💧
水が溜まると芋が腐ったり、ジャガイモの根が腐ったりします😨
pHが大事!
土壌の酸性度(pH)は5.0〜6.0を目指します。
土壌酸度測定用のpHメーターはホームセンターでも1000円くらいから売られています🏪
地面に挿してスイッチを入れるとpHを測ることができます。
ここではおおよそpH7ですね。
pHとは?
なぜこんなにpHの話をしたのか?
よく聞くことの多いpHですが、これは土壌がアルカリ性(pH値高)か酸性(pH値低)かを示す値です。
pH7が中性です。中性洗剤なんかはpH7です🧽除菌プラスだと弱アルカリ性になったりします🧼
育てる植物によって最適なpHの範囲は異なります。
ではなぜpHを測るのか?
化成肥料(窒素などの硝酸系)や日頃の雨(酸性雨)が酸性に傾ける要因となります。
何年も石灰などのアルカリ剤を投入しないと気づかないうちにpH5とかになっていたなんてことが起こりかねません😰
酸性かアルカリ性かによって土壌養分の溶け出し方に違いが出てきますのでざっくり気にしたほうが良い値となります。
石灰を入れすぎるとどうなるの?
ジャガイモにおいて適したpHは5.0〜6.0としましたが、石灰を入れすぎてpHが7.0を超えてアルカリ性になってしまったら…
ジャガイモには「そうか病」という病気があります。
芋の表面に褐色のカサブタのようなものができてしまう病気です。
そうか病は「ストレプトマイセス属菌」という放線菌(細菌の一種)により引き起こされますが、中性からアルカリ性の土壌でで活動します。
この菌は酸性条件(低pH)に弱いため酸性条件を保つことが大事です。
肥料を入れよう!
東京都の施肥基準を見てみると、10a(1反 1,000㎡)あたり作付け前に窒素15kg・リン16〜25kg・カリウム18kg、追肥で窒素5kgとなっています。
多分こんなにいらないと思います。
ジャガイモは肥料を多く必要としない作物です😊
肥料を与えるメリットよりも与えすぎによるデメリットのほうが多いです。
肥料があると…
茎が茂って風通しが悪くなり、湿度と温度が上がって病気の原因となります😷
また、肥料が多いことでジャガイモが芋を肥大させる必要性を感じなくなり、芋自体の収量が下がってしまいます。
畑の状態によってもどのくらい肥料を入れたらいいのかというのは変わってきますが、肥料なしでも大丈夫な畑もあると思います😊
ジャガイモを植え付けよう!
芋を切る
ジャガイモが大きい場合、芋を切ります。
半分もしくは4分の1に切っていきます🔪
ただし、1個あたりの芋が小さくなりすぎないようにします。
70~80gの大きさの芋なら2つに切り、更に大きいものは3〜4個に切ります。
切り方にもコツがあります😊
芋には親芋とつながっていた「へそ」みたいな場所があります。
その「へそ」の真逆側から目が出る傾向にあります🌱
へその反対から反時計回りに芽が出てきます🕥
ですので「へそ」を中心に切ってあげます🔪
切り口は湿っています。でんぷん質のジャガイモは菌の餌場となります🦠
菌が繁殖しにくいように日陰で乾かすか、石灰やシリカを付けるといいです☀️
畑に植える
70~80cmくらい(幅はおまかせします)の畝を作ります。
水はけの悪い畑では高めの畝を作ります。
気温がまだ低いけれども早く植えたい!とか土寄せが面倒!という方は黒マルチを敷きます。
雑草対策にもなるので初めてジャガイモを育てる方にもおすすめです。
関東の平地では3月中旬頃に植え付けが始まります。
芋が凍ると腐るので暖かくなってから植えます。
4月になってもOKです🌸
作った畝に30cm間隔で芽を上にして植えていきます。
栽培中の管理
芽かき
植えると芽が出てきます🌱
それが伸びると…
こうなります。
1つの芽に対して根っこがそれぞれにあります。
てことは…その分たくさんの芋ができる!
ということになります。
嬉しい話ですね😊
ということにはなりません😱
密集すると生育するジャガイモ1個体あたりの養分の配分が減ってしまいます🍙
そして、その少ない栄養を子芋(収穫する芋)たちに分け与えることになります。
てことは…小さな芋ができてしまう!
ということになります。
用途によってはまるごと使えるのでいいかもしれませんが、大きな芋もほしいという方はいらっしゃるはず!
密集しているなら間引けばいいじゃない👸
というわけで、芽かきをすればいいのです🤓
根本を押さえて、引き抜きます!
根元を押さえないと植えた芋も一緒に出てしまうことがあります😅
このようにこのように2本から3本になればちょうど良きです😃
土寄せ
土寄せをする必要性
畝が雨で崩れたり、芋が大きくなってきたりすると子芋(収穫する芋)が地表にこんにちはしてきます☀️
地表に出てしまった芋は青くなってしまいます😨
そしてこれを放っておくと…
真っ青な芋が獲れてしまいます😨
青い部分は「ソラニン」という毒があります。
食中毒になってしまうので廃棄しなければなりません😰
土寄せのタイミング
1回目:芽かきの時
2回目:蕾がついた頃
黒マルチを張っている場合は土寄せが要りません。(マルチで隠れているためできません)
芋掘り!
収穫のタイミングは花が咲き終わり、葉や茎が黄ばみだした頃です。
収穫が遅れると芋が腐ったり、表面が傷んだりします。
まずは、よくできた個体から見てみましょう👀
変色している芋は植えた親芋です。
養分吸い切られたようになっていますね😨
周りには元気そうな子芋ができています☺️
そして、芽かきを怠って地上部が伸び伸びになった末路を御覧ください。
小芋のカケラが大量にあります。
これでは子芋が芋として成り立ちません🥲
保管しよう
地域性の高い容器(コンテナとか)に移して、7〜15度くらいの涼しく、暗い場所に保管します。
保管中に柔らかくなっていたり、汁が出ていたり、酸っぱい匂いがしたらそれは食べないでください。
また、切ったときに中が黒く変色していることがあります。
これは黒色心腐という生理障害で、高温状態(25度くらい)で保管されたときに発生します。
芋の呼吸が激しくなり、中心部が壊死して黒色になります。
換気を良くして酸素を供給してあげる、涼しい場所に保管する、涼しい場所から急に温かい環境に移さないということを注意してください。
以上、ジャガイモ(馬鈴薯)の作り方を解説してきました。
ご参考に慣れば幸いです。